山口市 生前整理 アドバイザー【デジタル終活 デジタル出版 デジタルシニア編集長】定年後の人生の物語を「最高のデジタル資産」に編集・昇華。 古いネガやVHSのデジタル化からプロの構成による自分史動画制作、終活事務までトータルサポート。 長年のキャリアを持つプロがあなたの想いの継承を全力で支援します。
それは、何の変哲もない火曜日の午前中のことでした。山口市内のあるスーパーマーケット。私はいつものように妻の買い物カートの後ろを歩きながら、スマホのGoogle フォームに「ある違和感」を打ち込んでいました。
私の「記者の眼」が捉えたのは、地場産野菜コーナーの隅に置かれた、一見すれば単なる「品切れ」に見える一画でした。しかし、その周囲の棚割り(商品の配置)を注意深く観察すると、そこには地域経済の「詰まり」を象徴する、深刻なインサイトが隠されていたのです。
今回は、一見「所在なげなシニアの独り言」に見える気づきが、いかにしてプロフェッショナルなコンサルティング案件へと昇華したか、その実録をお伝えします。
「違和感」を事実として固定する
その日、私が目にしたのは、旬を迎えているはずの「山口県産のアスパラガス」が棚から消え、代わりに他県産の大量生産品が山積みになっている光景でした。
単なる偶然か、あるいは一時的な欠品か。私は周囲に悟られぬよう、スマホを「情報端末」として操作し、以下の事実を記録しました。
事実1: 地場産コーナーの特定箇所が3日連続で空席、または代替品で埋まっている。
事実2: 同店から徒歩圏内にある別の小規模スーパーでは、同産地のアスパラが山積みになっている。
事実3: 店内のポップには「地産地消推進」とあるが、物理的な配置は他県産の特売品が主役になっている。
私はこの状況を「ステルス撮影」した写真メモと共に、Google フォーム経由でスプレッドシートへ送りました。
「経験」と「データ」を衝突させる
帰宅後、GAS(Google Apps Script)によって自動更新された私の「戦略ダッシュボード」には、過去数週間分の入荷・価格データが並んでいました。
ここで、かつて地域担当記者や学芸員として培ってきた私のナレッジが火を吹きます。「特定の時期に、特定の店舗だけで供給が滞る」という現象の裏には、往々にして「物流のミスマッチ」や「情報の分断」が潜んでいます。
私は仮説を立てました。「生産者は十分な量を作っている。しかし、中規模以上のスーパーが求める『規格の統一』や『配送コスト』の壁が、地産地消のラストワンマイルを阻害しているのではないか」。
私はこの仮説を「週刊インサイト・プレビュー」の記事としてまとめ、Google サイトにアップしました。タイトルは『棚割りの空白が語る、地産地消の「見えない壁」』。
「特定の他者」からの予期せぬ連絡
記事をアップした数日後、私のLINE公式アカウントに一通のメッセージが届きました。差出人は、以前名刺を交換したことのある、地元で若手生産者を束ねる農業法人の代表者でした。
「サイトの記事を拝見しました。実は、まさに今、私たちが直面している問題が言語化されていて驚きました。一度、詳しく相談させていただけませんか?」
これこそが、私が提唱する「プル型」の接点です。私から「コンサルをさせてくれ」と営業をかけたわけではありません。私が提示した「事実と仮説(インサイト)」が、特定の課題を抱える当事者の心に深く刺さり、向こうから「手助け」を求めてきたのです。
実践:日常を「案件」に変える醍醐味
後日、私は彼らと共に、蓄積したデータを持って現場のスーパーへ赴きました。私は「時給パート」の労働者ではなく、独自のインサイトを持つ「顧問(パートナー)」として、店長やバイヤーとの交渉に同席しました。
「数字を見てください。地元の消費者は、他県産の特売品よりも、わずかに高くても『今日の朝採れ』を求めています。この棚割りの空白は、機会損失そのものです」
私の提案は、店舗側にも生産者側にも、そして地域の消費者にもメリットをもたらす「三方良し」の解決策として受け入れられました。
自尊心の充足、そして「第2の現役」
スーパーの通路で所在なさを感じていたあの日、私が手にしていたのは買い物メモではなく、未来を変えるためのインテリジェンスでした。
1枚の棚割り写真(のメモ)から始まったこの物語は、私に「定年後の社会的な役割」と「正当な対価」、そして何より「自らの知恵が必要とされている」という、金銭には代えがたい自尊心の充足をもたらしてくれました。
「digital-album.club」で皆さんに構築していただきたいのは、こうした「日常を案件に変える魔法の回路」です。あなたのポケットにあるスマホ、そして磨き抜かれたその「眼」を信じてください。
地域経済を裏から動かす「知の情報官」としての日常は、すぐ目の前の棚から始まっているのです。
第1章:【気づき】スーパーの通路で「かつての自分」に出会う
第2章:【武器】Google サイトとGASを「現役時代の名刺」に代わる盾にする
第3章:【戦略】「お願い営業」を卒業し、「依頼される側」へ
第4章:【実践】地域インサイト・オフィサー(情報官)としての日常